本編テキスト集(6-10)
ここは本編イベントのテキストをまとめておく場です。
CP獲得やリアクション部分は割愛、ネタバレは自己責任。
•[6]闇は影を包み 5ページ
戦闘前
それはとある薄暗い渓谷の深い深い谷の底。
闇魔術協会。玉座の間。
闇司祭ヴォーバル
藍色の乱れた髪に、赤色の瞳。血色が悪い。
黒ずくめのローブに金の装飾を多く身につけている。
闇司祭ヴォーバル「申し訳ありません、テネブ様。彼女を逃してしまいました。」
ヴォーバルは誰もいない玉座に向かって話している。
闇司祭ヴォーバル「・・・いえ、予兆は全くなく。本人も私達を警戒してなどというわけでは・・・・・」
闇司祭ヴォーバル「・・・・・はい。では機が来るまで捜索は一度中止します。」
テネブという相手と話が成立しているようだ。
闇司祭ヴォーバル「・・・・・・・ふぅ。」
安堵とも取れるため息をつくヴォーバル。
闇司祭ヴォーバル「しかし予想外だった。まさかこのタイミングで抜け出されるとは・・・・・」
ヴォーバルが玉座の間から外へと戻ろうとすると、突然入り口の扉が開かれる!
ルーナ
亜麻色の髪に朱色の瞳の少女。
剣を持ち、冒険者風の出で立ちをしている。
ニックス
青の短髪に群青色の瞳の男。
巨大な斧を持っている。
シエロ
銀色の長髪に紫の瞳の青年。
黒い翼の生えた杖を持ち、神官風の出で立ちをしている。
ルーナ「ついに見つけたわ、協会本部ッ!!戦姫ルーナ、・・・参るッ!!!」
ニックス「お盛んだねぇお姫さん。前はニックス様に任せなさいってば。なぁシエロ?」
シエロ「ニックスだけじゃ瞬殺じゃんか。・・・・・サモン・エンジェル。」
宙に魔法陣が展開され、そこから天使が舞い降りる。
闇司祭ヴォーバル「・・・・・・。」
無言でため息をつくヴォーバル。
闇司祭ヴォーバル「全く、面倒事は重なるものですねぇ・・・ここをどうしようと勝手ですが、ただただ・・・・・」
闇司祭ヴォーバル「・・・・・邪魔、ですよ。」
戦闘後
ルーナ「お、覚えてろ・・・ッ!!!」
捨て台詞を吐いて、玉座の間を立ち去る一行。
闇司祭ヴォーバル「・・・・・ふぅ、片付きましたか。ご苦労さまです。」
闇司祭ヴォーバル「さて、ここも足がつきました。早々に離れ、次の仕事を進めましょうか。」
闇司祭ヴォーバル「戦姫も最近目立ってきましたね・・・・・どこかでテネブ様にご報告しなければ。」
たいまつを床に投げ捨てる。炎がすぐに広がり、光を放ち周囲を燃やし始める。
闇司祭ヴォーバル「・・・・・光は、闇以上に破壊をもたらす。」
燃える玉座の間を後ろに、ヴォーバルは静かに出口へと歩いていった。
•[6]闇は影を包み 10ページ
戦闘前
深い森の中の洞窟。
闇司祭ヴォーバル
藍色の乱れた髪に、赤色の瞳。血色が悪い。
黒ずくめのローブに金の装飾を多く身につけている。
ゴブリン
よくいるタイプのあいつ。
闇司祭ヴォーバル「・・・戦姫を捕らえたというのは本当か?」
ヴォーバルの前には多くのゴブリンがいる。
ゴブリン「ホントダ・・・・・イクサヒメ、メーアハ、オクニイル。」
ゴブリンのひとりが答える。
闇司祭ヴォーバル「ほう・・・・・君らもなかなかだね。」
ゴブリン「ナメルナ・・・・・オレタチ、ツヨイゾ・・・・・」
闇司祭ヴォーバル「さて・・・・・どうしたものか・・・・・」
ヴォーバルは目を瞑り、何かを考えている。
ゴブリン「・・・・・」
ゴブリン「・・・・・」
ゴブリンたちがこそこそと話をしている・・・
・・・と、
ヴォーバルの背後から突然ゴブリンが鈍器を振りかざしたッ!!
・・・・・が、ヴォーバルはそれを素手で受け流す。
闇司祭ヴォーバル「・・・何のつもりだ?ゴブリンども。」
ゴブリン「イッタハズダ。・・・・・オレタチハ、ツヨイッ!!」
ゴブリン「オマエヲタオシテ、テネブサマニ・・・ミトメテ、モラウッ!!」
ゴブリンたちが一斉に武器を構えて襲いかかってきた!!
戦闘後
闇司祭ヴォーバル「どうしてこう、こういうサイドの者共は反逆を企てるかね。」
呆れた顔をするヴォーバル。
闇司祭ヴォーバル「・・・・・それで、貴方が戦姫・・・ぁー・・・メーア、かな?」
メーア
水色の髪に朱色の瞳の少女。
ボロボロの布切れを纏った少女。
メーア「・・・どうするつもりだ。」
闇司祭ヴォーバル「あぁいや怖がらないでほしい。何もしやしない。・・・ん、これが貴方の神具ですか。」
無造作に投げ捨てられていた双剣を拾う。
メーア「・・・・・触るなッ!!」
メーアが叫ぶが、鎖に繋がれているため何もできない。
闇司祭ヴォーバル「これはお渡しできない。渡したら力づくで逃げるでしょう?・・・ですが、まぁとりあえず服は着てもらいますかね。」
メーアが着ていたと思われる服を手渡し、束縛を解く。
メーア「・・・・・??」
闇司祭ヴォーバル「ぼさっとせず、早くしてください。・・・行きますよ。」
すたすたと洞窟の外へ向かうヴォーバル。
闇司祭ヴォーバル「戦姫・・・・・神具・・・・・。・・・・・やれやれ。」
ぼそりと呟く。
•[6]闇は影を包み 15ページ
戦闘前
光り輝く神殿を歩く2人。
闇司祭ヴォーバル
藍色の乱れた髪に、赤色の瞳。血色が悪い。
黒ずくめのローブに金の装飾を多く身につけている。
メーア
水色の髪に朱色の瞳の少女。
闇司祭ヴォーバル「・・・君はどうして戦姫になった?」
メーア「・・・・・。小さい時から、そう言われてきた。」
闇司祭ヴォーバル「その頃から既に武術を学んでいたのか?」
メーア「・・・そう。」
闇司祭ヴォーバル「・・・・・・・・。」
しばらく無言の時間が続いた。
闇司祭ヴォーバル「・・・・・ん。」
ヴォーバルが目を向けた先に、光の像が形成されていく・・・・・
闇司祭ヴォーバル「・・・ようやくか。すまないがこの神殿を闇に染めに来た。」
闇司祭ヴォーバル「貴方には消えてもらいますよ、ラティウス。」
そう呼ばれた光の像は、何も語らぬままこちらに刃を向ける。
戦闘後
光の像が消えると、神殿の光は瞬く間に消え失せ、闇で包まれた。
闇司祭ヴォーバル「本来あるべき、姿へ・・・・・」
ヴォーバルが呟く。
メーア「お前は、何をしているんだ・・・?」
闇司祭ヴォーバル「地道な努力ですよ。・・・君にも関係があるだろうに、何も知らないのだね。」
メーア「・・・・・?」
闇司祭ヴォーバル「まぁ、気にしないことです。・・・悪いことばかりじゃありませんよ。」
そう言って、神殿を後にした。
•[6]闇は影を包み 20ページ
戦闘前
真っ白な空間。目の前には銀の女神像。
闇司祭ヴォーバル
藍色の乱れた髪に、赤色の瞳。血色が悪い。
黒ずくめのローブに金の装飾を多く身につけている。
メーア
水色の髪に朱色の瞳の少女。
女神像
銀色の女神像。
闇司祭ヴォーバル「貴方が・・・・・代弁者ウムリスか?」
女神像「いかにも。ガーディアンを蹴散らしてきたであろうそなたは?」
闇司祭ヴォーバル「私はヴォーバルという、好奇心旺盛な魔術師でございます。」
女神像「・・・・・そちらは、戦姫メーアでは?」
メーア「知っているの・・・ですか?」
女神像「戦姫の意思を導くのが我々の役目だ。」
闇司祭ヴォーバル「導く・・・ねぇ・・・・・」
女神像「・・・・・何だ。」
闇司祭ヴォーバル「その導きを断つと、どうなるのでしょうね。」
ゆっくりとした動作で杖を構えるヴォーバル。
女神像「・・・なるほど。確かに・・・・・好奇心旺盛のようだな。」
女神像の後部に光の翼が現れ、動き出した!!
戦闘後
粉々に砕け散った女神像。
メーア「私は、どうなるのだ・・・?」
闇司祭ヴォーバル「はて、どうなるのでしょうねぇ。」
メーア「戦姫を導く・・・?そんなこと、聞いたこともない・・・・・」
闇司祭ヴォーバル「・・・・・そのようですねぇ。」
女神像の一部を拾い、その場を後にするヴォーバル。
•[7]刀を求めて 5ページ
戦闘前
雪に包まれた街の一角。
ひときわ盛り上がっているお店。
フニュ
緑色の短髪に茶色の瞳の少女。
大きなチェーンソーを持っている。
ボルシチ
モジャモジャアフロのおっさん。
派手なタンクトップを身につけている。
バックダンサー
ナイススタイルのおねーちゃん。
桃色の露出度の高い派手な衣装を身につけている。
マッスラー
筋肉隆々の屈強な男。
いつも笑顔。
フニュ「フニュは刀を探してるにぅ!!ここは名のある刀匠の店と聞いたにぅッ!!!」
ボルシチ「YEAH・・・可愛いオジョチャーン。
ボルシチの店はタダーノ・・・・・PARADISEッ!!」
バックダンサー「YEAH!!!」
マッスラー「HYAAAAHHHAAAAAAA!!!!!!」
バッと両手を広げると周囲の人間がそれに合わせて盛り上がる!
フニュ「そんなはずないにぅ!!店の作りにこの匂い、・・・・・刀匠の香りがするにぅッ!!!」
ボルシチ「Oh・・・・・ユーはソーユー嗅覚の持ち主?チェーンソーならアルケドネー!?」
ずっしりと重そうなチェーンソーを出すボルシチ。
フニュ「それにぅ!!まさしくそのフォルムは刀そのものにぅぅぅっ!!!」
ボルシチ「Understand!?これニポーンのカタナとは違うネー!!」
フニュ「間違いないにぅ!!それをよこすにぅぅ!!!!」
ボルシチ「Oh・・・・シャーナーイネー。それジャー・・・・・ミュージックッ!!」
フニュ「にぅぅ!?」
ボルシチが合図すると、照明が落ち、ボルシチにスポットライト。
バックダンサー「YEAH!!!」
マッスラー「HYAAAAHHHAAAAAAA!!!!!!」
ずらりと並ぶマッスラー&バックダンサーズ。
ボルシチ「イッショにステージを盛り上げてくれるかーい?YEAH!!!!」
戦闘後
ボルシチ「オジョチャーン、やるネェ!ソンじゃコイツぁサービスするするよォ!!」
フニュ「ホントにぅ!!?」
チェーンソーを受け取るフニュ。
フニュ「コレがかの有名な刀匠のカタナにぅ・・・ッ!!?」
ボルシチ「YEAH!!コレにてボルシチもトーショーってことデェッ!!コングラッチュレーションッ!!」
バックダンサー「YEAH!!!」
マッスラー「HYAAAAHHHAAAAAAA!!!!!!」
フニュ「恩に着るにぅ!!さすがは刀匠にぅ!!!心が広いにぅっ!!!」
ボルシチ「YEAH・・・・・ト、トーショーだかラネー・・・ッ!!」
チェーンソーを片手にスタコラと店を後にするフニュ。
ボルシチ「・・・・・・。」
バックダンサー「ボルシチサーン、トーショーなんデスカー??」
ボルシチ「・・・・・ソモソモ、あれカタナじゃナイデショーガー。」
開けっ放しにされた扉を閉め、ため息をついた。
•[7]刀を求めて 10ページ
戦闘前
雪山に、少女がひとり。
フニュ
緑色の短髪に茶色の瞳の少女。
大きなチェーンソーを持っている。
フニュ「観念して出てくるがいいにぅッ!!かの刀匠ボルシチの最強の刀を手にしたフニュに敵は無いにぅ!!」
目の前の大きなほら穴に向かって叫んでいると、ほら穴から巨大なドラゴンが現れた。
ホワイトドラゴン
多くの伝説に現れる白き竜の一族。
鱗はステンレスより割とすごい。
ホワイトドラゴン「んだようるせぇなぁ・・・・・寝てんだから静かにしろっての。」
フニュ「お前がホワイトドラゴンにぅ!!?」
ホワイトドラゴン「あぁあぁそうだが?わざわざこんな所に何しに来た。」
フニュ「鱗をおすそ分けしてほしいにぅ!!」
ホワイトドラゴン「・・・・・はぁ??」
フニュ「龍の鱗は刃にするとすごいって聞いたにぅ!!」
ホワイトドラゴン「あー・・・・・まぁ、そこそこねー。でもお前さんの持ってるのは最強の刀なんだろ?だったらいいじゃねぇかそれで。」
フニュ「甘いにぅ・・・・・最強というのはいつか覆されるものにぅ。だったらフニュがお先に最強を覆そうってコンタンにぅ!!」
ホワイトドラゴン「・・・何か思ったよりめんどくせぇのな、お前。」
フニュ「いいから鱗をちょっと剥がしてくれにぅッ!!!」
ホワイトドラゴン「やだよ。いてぇもん。」
フニュ「そう言うと思ったにぅ・・・・・・・・」
ホワイトドラゴン「うん、まぁ言うだろ普通。」
フニュ「ならばこの刀の切れ味を思い知るがいいにぅぅぅッ!!!」
ホワイトドラゴン「うん・・・・・まぁこうなると思ってたわ。・・・ったく。」
戦闘後
ホワイトドラゴン「・・・っでででででッ!!無理やり毟んなッ!!!」
フニュ「これだけあれば十分にぅ、ご協力感謝にぅ!!」
ホワイトドラゴン「おーよ、もう来んなアホ娘。」
白龍の鱗を手に入れ、意気揚々と雪山を下る。
フニュ「次は・・・・・これをどうにかしてくれる職人を探すにぅ!!」
•[7]刀を求めて 15ページ
戦闘前
とある工房。
フニュ
緑色の短髪に茶色の瞳の少女。
大きなチェーンソーを持っている。
フニュ「これがホワイトドラゴンの鱗にぅ!!おのれらに鍛えさせてやるにぅぅ!!」
シュタール
短い銀髪に赤い瞳の青年。
やさしそーな顔をしている。
アシエ
短い銀髪に赤い瞳の女性。
元気いっぱい。
カリブス
長い銀髪に赤い瞳の青年。
だるそーな顔をしている。
シュタール「あー、あいつんち行ったのかぁ。大変だったねぇ。」
アシエ「何だかんだで鱗くれたでしょ?あいつ優しいからなぁ。」
カリブス「優しいっていうか、横着者?面倒だと思ったら鱗くらいすぐくれるし。」
3人が同時に喋る。聞き取るのが大変だ。
フニュ「確かにドラゴンにしては大人しいやつだったにぅ。」
アシエ「でしょでしょー。ほら、鱗貸してみて。」
シュタール「結構千切ってきたねぇ。ホワイトさん可哀想だ。」
カリブス「僕らも結構毟りに行くんだよねー。」
鱗をがさごそと取り合って、色々考えている。
フニュ「どうすればいい感じにぅ?」
ニヤッとする3人。
シュタール「とりあえず、戦い方を見せてみてよッ!!」
アシエ「とりあえず、戦い方を見せてみてよッ!!」
カリブス「とりあえず、戦い方を見せてみてよッ!!」
フニュ「にぅぅ!!?」
戦闘後
シュタールがふむふむと考える。
シュタール「君は今の武器が合ってないよ。重くて振り切れてない。」
フニュ「嫌にぅ。フニュはこの刀に惚れ惚れしてるにぅ。」
カリブス「嫌ならしょうがない。」
アシエ「しょうがないねー。」
数時間後。
アシエ「できたよー!!」
ボルシチのチェーンソーの刃の部分に鋭く研がれた鱗が並んでいる。
シュタール「回んないけど、いい?」
カリブス「かなりかっこわ・・・」
フニュ「かっこいいにぅぅ!!!これはすごい刀にぅ!!!」
アシエ「で、でも・・・・・回んないよ?」
フニュ「刀が回るなんて聞いたことないにぅ!!これでようやくまともな刀になったということにぅッ!!!」
シュタール「だったら・・・いいけど・・・・・」
フニュ「いいにぅ!!ありがとにぅッ!!次はいよいよ腕試しにぅぅッ!!有名な剣豪を探すにぅぅぅッ!!!!!」
すごい勢いで工房を後にするフニュ。
シュタール「・・・・・あんなのを喜ぶなんて。」
アシエ「別な武器に変えてくれると思ったのにねー。」
カリブス「まぁいいじゃん、喜んでたし。」
呆れた顔で見送る3人。
•[7]刀を求めて 20ページ
戦闘前
フニュ
緑色の短髪に茶色の瞳の少女。
大きなチェーンソーを持っている。
狐面の男
狐の面をした金髪の男。
チャラい格好をしている。
狐面の男「君が・・・・・うぅん・・・・・?」
フニュ「人の顔見て首を傾げるなにぅ。」
雪山のてっぺんにある古びた社のなか。
外の寒風が中にまで入ってくる。
狐面の男「いやね、僕の役割を考えるとね・・・・・導かれたのが君っていうのがね。」
フニュ「客人に失礼にぅ!!謝れにぅッ!!」
狐面の男「ごめん。」
フニュ「それよりおのれは剣豪にぅ!?」
狐面の男「いや・・・・・違うけど・・・・・」
狐面の男がフニュの持つ武器をマジマジと見つめる。
フニュ「・・・今度は何にぅ。」
狐面の男「それ、君の武器?」
フニュ「そうにぅ!!伝説の名刀にぅ!!」
竜の鱗をテキトーにくっつけられたチェーンソーをかざす。
狐面の男「・・・・・」
フニュ「疑っているにぅ!?ならば味わってみるがいいにぅ!!」
狐面の男「あぁうん、そうさせてくれる?」
フニュ「にぅっ!!?」
準備運動を始める男。
狐面の男「実際に見てみないと、分かんないしね。」
戦闘後
狐面の男「なるほど・・・・・君自身は弱いねぇ。」
フニュ「この刀の強大さを理解したかにぅ。」
狐面の男「あぁいや・・・そういう比較的な意味ではなくねぇ・・・」
頭をポリポリと掻く。
狐面の男「まぁ・・・でも、まぁ・・・可能性を否定するわけにもいかないしなぁ・・・・・」
ポケットから紙切れを取り出し、フニュに渡す。
狐面の男「ここに行ってみ。」
フニュ「なぜにぅ。」
狐面の男「強くなれるかもよ?」
フニュ「行くにぅ。」
地図を受け取り、さっさと社を後にする。
狐面の男「・・・微かな光。・・・でも、ほんと微かなんだよなぁ。」
狐面の男「・・・・・見間違い・・・かもねぇ・・・・・」
•[8]アルマジロの苦悩 5ページ
戦闘前
カルロス
茶色の短髪に群青の瞳の青年。
貴族風の格好で、きらびやかなマントを身につけている。
じい
黒のスーツを身につけた白髪の老紳士。
趣味はウォーキング。
ジャイアントアルマジロ
大きな大きなアルマジロ。
カルロス「さぁ行くぞじい!!」
じい「はい坊っちゃま!」
洞窟へと向かう二人。
ジャイアントアルマジロ「・・・・・・・」
ぐったりと倒れこむアルマジロ。
「ああぁぁぁーっ!!」
突然の叫び声。
ジャイアントアルマジロ「(・・・サ、サザンカ!?)」
サザンカ
薄桜色の短髪に朱色の瞳の少女。
赤い花をあしらったドレスを身に纏っている。
サザンカ「アルマジロくんに何してるの!?」
アルマジロに駆け寄るサザンカ。
サザンカ「ひどい怪我・・・・・なんてことを・・・・・」
ジャイアントアルマジロ「(だいじょうぶ、僕が悪いんだ。ありがとう。)」
サザンカ「・・・・・赦さないッ!!」
ジャイアントアルマジロ「(え・・・??)」
サザンカが天に手をかざすと周囲に光が立ちこめ、大輪の花々が現れた!!
戦闘後
ジャイアントアルマジロ「(もう・・・やめてよ・・・ッ!!)」
サザンカとの間に入るアルマジロ。
ジャイアントアルマジロ「(僕は魔女のお姉さんの言われたとおりにしただけなんだ・・・)」
倒れたサザンカを抱きかかえ、ゆっくりと森の奥へと去っていった。
•[8]アルマジロの苦悩 10ページ
戦闘前
森の中に、アルマジロと細身の女性。
ジャイアントアルマジロ
大きな大きなアルマジロ。
エルキス
ロングウェーブの金髪に桃色の瞳。
黒いロングドレスのセクシーなお姉さん。
ジャイアントアルマジロ「エルキスさん、洞窟を・・・守れませんでした・・・・・」
エルキス「あらあら、残念・・・・・でも大丈夫。もうひとつのお願い、覚えてる?」
ジャイアントアルマジロ「森の・・・・・封印・・・?」
エルキス「そう!2つもお願いしちゃったけれど、そっちのお願いを叶えてくれれば貴方の願いも叶えられるの。」
ジャイアントアルマジロ「ほ・・・ほんと・・・?森の封印を解けば、僕―――」
エルキス「えぇ!サザンカと話せるようにしてあげるっ!」
エルキス「森の封印が解ければ、魔法が使えるようになるから。ね!」
森の中。森の封印の標。
森の住人として認められた者にしか認識できない標。
封印の守護精霊「(ボゥ・・・・・)」
ジャイアントアルマジロ「(エルキスさんの話だと、昔の戦争で必要だった一時的な封印で、今は意味のないものみたい・・・)」
緑色の光を纏った表情を持たない精霊が、少しずつ集まってくる。
ジャイアントアルマジロ「(精霊さん、役目はもう終わり・・・・・だよッ!!)」
戦闘後
封印が解かれたのか、異様な静けさに包まれていた森に、本来の森の音色が戻っている。
ジャイアントアルマジロ「(・・・・・エルキスさんのところに戻ろう。)」
エルキス「おかえりなさい!うまくいったみたいねっ!・・・ほらっ」
エルキスが指先から小さな火を出してみせる。
エルキス「本当にありがとね!手伝ってくれたかたにも、ありがとっ!!」
ジャイアントアルマジロ「それじゃ、サザンカと・・・」
エルキス「えぇ!今から魔法をかけてきてあげる。数日後には貴方の言葉が分かるようになると思うわ。」
ジャイアントアルマジロ「や、やった・・・!!これで、色々、今までのお礼とか・・・言える・・・・・」
エルキス「良かったわね!それじゃ私行ってくるから、またねっ!!」
ポンッと出したホウキに跨がり、空へと飛んでいった。
•[8]アルマジロの苦悩 15ページ
戦闘前
森の中の花畑。
ジャイアントアルマジロ
大きな大きなアルマジロ。
ジャイアントアルマジロ「数日・・・かぁ・・・・・」
ぼんやりと空を見上げる。
ジャイアントアルマジロ「もうそろそろ・・・・・かなぁ・・・・・」
ジャイアントアルマジロ「サザンカと、話したい・・・・・」
ザッ ザッ ザッ
花を踏み荒らす足音。
ジャイアントアルマジロ「(・・・・・だれ?)」
王国兵
銀の鎧を着た兵士。
王国魔導師
白いマントを纏った魔導師。
王国兵「貴様か・・・・・サザンカ様と接触したアルマジロは。」
ジャイアントアルマジロ「(・・・なんだろう。)」
王国魔導師「・・・化け物め。どんな術を使ったは知らないが、始末する必要があるな。」
ジャイアントアルマジロ「(え・・・!?)」
王国兵「大人しく、死んでもらおうッ!!」
戦闘後
王国兵「くっ・・・・・一時撤退だッ!!」
逃げ帰ってゆく兵士たち。
王国魔導師「よくもサザンカ様を、アルマジロに・・・ッ!!」
そう叫んで去っていった。
ジャイアントアルマジロ「・・・・・え?」
呆然とする。
ジャイアントアルマジロ「何が・・・・・あっ・・・たの・・・・・?」
•[8]アルマジロの苦悩 20ページ
戦闘前
森の中に再び、アルマジロと細身の女性。
ジャイアントアルマジロ
大きな大きなアルマジロ。
エルキス
ロングウェーブの金髪に桃色の瞳。
黒いロングドレスのセクシーなお姉さん。
ジャイアントアルマジロ「エルキスさん、・・・・・何をしたの。」
エルキス「やだわぁ恐い顔して、どうしたのぉ??」
ジャイアントアルマジロ「サザンカに何をしたのッ!!」
エルキス「・・・・・やだ、ほんとこわい。」
ジャイアントアルマジロ「僕はサザンカと話せるようになりたいって!それだけしか・・・ッ!!」
エルキス「そう!貴方が望んだことじゃない☆」
アルマジロに戸惑いと怒りの表情が入り混じる。
ジャイアントアルマジロ「・・・ちがあぁぅッッ!!サザンカを元に戻せッ!!!」
エルキス「・・・困った子ねぇ。」
戦闘後
エルキス「ふふ・・・お熱い子は好きよ?だからお姉さん、サービスしてあげるっ!」
エルキスがアルマジロに向けて光を放つ!
ジャイアントアルマジロ「な・・・なに・・・ッ!!?」
エルキス「あらあらあら・・・・・結構男前っ!!」
ジャイアントアルマジロ「・・・・・え・・・。」
一瞬にしてアルマジロが人間の姿になってしまった!!
エルキス「はいこれで元通り!サザンカちゃんとはお話できなくなりましたぁ!!」
エルキス「それじゃ、ばーいばーい☆」
ホウキに跨がり空へと消えるエルキス。
ジャイアントアルマジロ「ま、待ッ・・・・ぅぁ・・・ッ」
うまく歩けず躓いてしまう。
寒いのか、布切れを纏うアルマジロ。
ジャイアントアルマジロ「・・・・・サザンカが困ってる。」
慣れない身体を必死に動かす。
ジャイアントアルマジロ「・・・行かなきゃ!!」
一歩ずつ、一歩ずつ、ゆっくりと歩みを進める・・・・・
•[9]じいのお買い物 5ページ
戦闘前
森に囲まれた繁華街。
ひとりのおじいさんがフラフラと。
じい
黒のスーツを身につけた白髪の老紳士。
趣味はウォーキング。
じい「どうして召使いたちは私に命令してくるのでしょう・・・とほほ・・・・・」
メモ書きを見ながらキョロキョロと周囲を確認し、
じい「・・・!」
じい「そこのかた、よろしいでしょうか?ちょっと、かってきてほしいものがあるのですが!」
こちらに話しかけてきた。
じい「お礼はいたしますので、ご同行願えますでしょうか?」
森の中。
じい「・・・これでございますっ!!」
巨大黒豚
大きくて、とてもジューシーなやつですぞ!!
巨大黒豚「グルルルルル・・・・・」
目の前には巨大な黒い豚。
じい「恥ずかしながら財布をお屋敷に忘れてきてしまいまして・・・・・消去法でこれしか思いつかなかったもので・・・・・」
じい「ピッチピチの黒豚を!!よろしくお願いしますぞッ!!」
戦闘後
じい「ありがとうございます!これは良いお肉ですねぇ!!」
ナイフを取り出して黒豚の肉を刻むじい。
じい「では私のほうは130グラムだけいただきますので、あとはお楽しみくださいませ。」
巨大黒豚まるまる2匹を置いて、去っていった・・・
•[9]じいのお買い物 10ページ
戦闘前
森に囲まれた繁華街。
じい
黒のスーツを身につけた白髪の老紳士。
趣味はウォーキング。
じい「さてさて・・・・・坊っちゃまのお母様へのお誕生日プレゼントを・・・・・」
露店に寄っては眺め、寄っては眺め・・・・・
じい「・・・!」
じい「これはこれは、いつぞやの豚のかた!奇遇ですねぇ!!」
こちらに気づき、嬉しそうに話しかけてきた。
じい「・・・っ!!」
じい「思いつきましたぞッ!!」
じい「またお礼はいたしますので、ご同行願えますでしょうか?」
森の中。
じい「・・・これでございますっ!!」
巨大毒蛇
大きくて、とても艶の良いやつですぞ!!
巨大毒蛇「ッキシャアァァァァッ!!!」
目の前には巨大な毒蛇。
じい「いやはや、財布は持ってきたのですが銭湯の割引券しか入っていなかったもので。」
じい「ピッチピチの蛇革を!!よろしくお願いいたします!!」
戦闘後
じい「ありがとうございます!これは良い蛇革になりますよぉ!!?」
巨大ヘビを刻んで、一部だけを麻袋に詰める。
じい「では私のほうはこの子の尻尾のほうだけいただきますね。あとはご利用くださいませ。」
じい「あ、それと銭湯の割引券もお渡ししますぞ!!」
じい「・・・あそこの銭湯は・・・・・混浴もあるのです。」
割引券と巨大毒蛇を置いて、去っていった・・・
•[9]じいのお買い物 15ページ
戦闘前
森に囲まれた繁華街。
じい
黒のスーツを身につけた白髪の老紳士。
趣味はウォーキング。
じい「おおお!また会いましたねぇ、この辺を拠点にしているのですか。折角ですし、露店でも眺めながら世間話でもいたしませんか?」
じいと話しながら露店を見て回る。
じい「・・・おやおや発掘品ですか?珍しいですねぇ!」
不思議な品を並べる露店を眺めるじい。見覚えがある店主。
ティニス
橙色の短髪に緑色の瞳の少女。
探検者風の格好で、リュックを背負っている。
頭にはゴーグルを付けている。
ティニス「遺跡から取ってきた逸品っ!おじいちゃん、買ってく!?」
じい「なるほどなるほど・・・・・おや、これは何ですかな・・・?」
ボロボロなのを全力で補強してある盾を指さす。
ティニス「・・・おじいちゃん、只者じゃなかったりするぅ?」
ティニス「これ、一見ボロボロだけど・・・・・ものすごい魔力を秘めた盾なのよ!その魔力の強さゆえ、こうして補強をしなければ盾本体をも破壊しかねない超絶魔力の品物ッ!!持つべきものが持てばどんな攻撃もその魔力で防御どころか跳ね返すッ!!」
じい「ななななななんですとッ!!?それはまさしく選ばれた人間のための代物ということですかなッ!?ま・・・まさに坊っちゃまのためにある盾としか・・・ッ!!!」
じい「買いますぞっ!!」
ティニス「おおっと、でもおじいちゃんに買えるかなぁ?・・・言い値チャレンジ!おいくら出せるかなっ??」
じい「我がお屋敷近くの一軒家をお譲りしましょう。」
ティニス「・・・・・ふぇっ!!?」
ティニス「・・・の、乗ったッ!!!」
じいのお屋敷、のすぐ近くの一軒家。
ティニス「ほわわわわわわ・・・・・!?!??」
とても立派な家に驚愕するティニス。
じい「広いお家なのですが住む人間がおりませんので、どうぞ遠慮なさらず。」
ティニス「は、はいっ!!ぜひッ!!」
興奮した表情で玄関のドアを開ける!
巨大シロアリ
立派な家に住むことに憧れている。
好きな食べ物は主柱。
巨大シロアリ「ギチ・・・ッ」
ティニス「はに゛ゃああああああああああぁッ!!」
家の中にはみっちり詰まった巨大シロアリ。
じい「おや?良いお家だけに先約が居たようですなぁ。」
巨大シロアリ「ギチギチギチッ!!!」
ティニス「いいぃッにゃあぁぁぁああああぁぁぁぁッ!!!」
戦闘後
じい「これはお見事!なかなかの腕前ですねぇ皆さま。」
ティニス「・・・こ、この・・・・・家・・・・・・・」
じい「お気に召されましたかっ!!」
ティニス「召すかあぁぁッ!!」
怒ってその場を立ち去るティニス。
じい「あっ・・・・・」
ボロボロの盾を持っておろおろするじい。
じい「・・・・・」
じい「頂いてしまいました!・・・優しい御方ですねぇ。」
じいは満足げな表情で屋敷へと戻っていった。
•[9]じいのお買い物 20ページ
戦闘前
とある遺跡。
ティニス
橙色の短髪に緑色の瞳の少女。
探検者風の格好で、リュックを背負っている。
頭にはゴーグルを付けている。
じい
黒のスーツを身につけた白髪の老紳士。
趣味はウォーキング。
ティニス「・・・・・。・・・何でキミらがいるのよ。」
じいに連れられてやってきた遺跡。
じい「お買い物リストに『箱』とあったので、箱といえば宝箱が良いかと思いまして。」
ティニス「・・・・・・・・」
ティニス「・・・まぁいいわ。それじゃ箱はキミら、中身は私ね。」
呆れた顔。
ティニス「・・・・・っで!」
ジャックオーランタン
カボチャのおばけ?
ジャックオーランタン「・・・・・・・・」
すぐ先に浮かぶ怪しげなカボチャマント。
その奥には宝箱が見える。
ティニス「お目当ての箱をゲットするには、こいつを倒さないといけないみたいよ?」
じい「美味しそうなカボチャですなぁ。今晩はカボチャの煮付けにしましょう!」
ティニス「それじゃ、ちょっと手伝ってよねっ!!」
戦闘後
ティニス「いよーっし!!やっぱりこの瞬間が一番楽しーっ!!」
意気揚々と宝箱を開けるティニス。
ティニス「・・・・・あれぇ?」
中には大量のトウガラシ。
ジャックオーランタン「・・・・・コウ・・・・ブツ・・・・・・・」
ティニス「・・・・・・・」
じい「カボチャに薬味!至れり尽くせりですぞッ!?」
ティニス「・・・・・・・」
その夜は、皆でカボチャパーティーをしました。
•[10]とある勇者の旅2 5ページ
戦闘前
綺麗なお花畑を進む勇者御一行。
カルロス
茶色の短髪に群青の瞳の青年。
貴族風の格好で、きらびやかなマントを身につけている。
ベルナ
桃色の長髪に紫色の瞳、白い薄布を纏った女性。
全身から淡い淡い光を発している。
ヤンキー
ヤン・キー。
ヤンキー「きれいなとこっすねぇ!!」
カルロス「あぁ、そうだな。」
花々は時折淡い光を灯し、幻想的な雰囲気を作り出している。
ベルナ「・・・・・。」
カルロス「・・・ベルナ、何だかおとなしくないか?」
ベルナ「この花々の意味を知っていると、どうしても素直に観賞はできないもので。」
カルロス「・・・?」
ヤンキー「ね、姐さあぁんッ!!!」
ヤンが突然大きな声をあげる。
ベルナ「・・・・・来ましたか。」
花の女王
桃色のボブヘアーに桃色の瞳の巨大な女性。
たくさんの花の髪飾りを付けている。
花の女王「おやおや、可愛い花の種たち・・・・・フフフ・・・・・」
怪しい笑顔を浮かべる。
ベルナ「花の女王。この花畑の持ち主であり、創造主。」
花の女王「そう!このお花達は私のコレクション!!みんな綺麗なお花になってくれたわぁ!!」
カルロス「みんな・・・?」
ベルナ「この花は犠牲者。元は人の形をしていたもの。」
花の女王「犠牲だなんて嫌ねぇ。可愛くないものを可愛くしてあげただけのこと・・・・・」
花の女王「貴方たちも可愛いお花になっていただけないかしらッ!!」
戦闘後
崩れ落ちる花の女王。
それと同時に、周りの花々が徐々に散っていく・・・
カルロス「ぇ・・・・・」
ベルナ「・・・彼らは既に一度死んでいるのです。元には戻りませんよ。」
ヤンキー「切ねぇッス・・・・・」
カルロス「・・・・・・・・」
カルロス「・・・・・なんだろう、この光景を・・・どこかで見たような・・・」
先へと進む一行。
•[10]とある勇者の旅2 10ページ
戦闘前
岩山を登るヤンキー御一行。
カルロス
茶色の短髪に群青の瞳の青年。
貴族風の格好で、きらびやかなマントを身につけている。
ベルナ
桃色の長髪に紫色の瞳、白い薄布を纏った女性。
全身から淡い淡い光を発している。
ヤンキー
ヤン・キー。
ヤンキー「姐さん・・・・・これ、キツぃっす・・・・・」
ヤンはベルナをおぶって登っている。
ベルナ「・・・漢とは、この程度で音を上げる生き物なのですか?」
ヤンキー「や・・・、やってやりやっすあぁぁあ゛あ゛ッ!!!」
カルロス「(助かった・・・本当に助かった・・・・・)」
ヤンキー「ぬ、ぬぇ・・・姐さあぁんッ!!!」
ベルナ「何ですかヤンさん。いい加減このパターンにも飽きました。」
ヤンキー「ととトト・・・ッ・・・鳥人間っす!!!!」
シグエ
緑の長髪に蒼色の瞳。
美しい緑色の翼を持つハーピー。
長い髪をところどころ三つ編みにしている。
ベルナ「お元気そうで、シグエさん。」
シグエ「・・・お久しぶりですね、ベルナ。」
カルロスをじっと見つめる。
カルロス「・・・・・?」
シグエ「彼ですか、今回の犠牲者は。・・・似ていますね、前々回の方に。まさか、彼は―――」
ベルナ「犠牲者なんて言い方はやめてくださいな。殆どが犠牲になどなっていないですし、世界に救いをもたらしていますよ。」
シグエ「・・・あなた方にとっては、ね。しかしこちらも必死なのです。・・・ここは通しませんよ?」
シグエの翼が闇色に染まる・・・・・
ヤンキー「どど、どうなってんすか姐さんッ!?」
ベルナ「聖剣に欠けている要素のひとつがこの先にあります。彼はそれを阻止する者、魔王に加担する者です。・・・さぁカルロス、行きますよ?」
カルロス「・・・・・。・・・分かった。」
ヤンキー「そういうことなら、やってやりますよ姐さあぁんッ!!」
シグエ「異端は排除。えぇ、正しいでしょうね。しかし貴方たちに有りますか?・・・それを成すだけの力が。」
戦闘後
シグエ「フフ、良かったですねベルナ。彼は父のようにはならなかった。」
カルロス「・・・ッ!?・・・父を知っているのか!?」
ベルナ「シグエさん、その情報はおそらく必要ありません。」
シグエ「貴方の父は、貴方の散らしたお花畑の中に居たのですよ。勇敢にも無謀にもここに挑み、犠牲となったのです。」
ベルナ「・・・・・」
シグエ「そして貴方は・・・・・その場に居ましたよね、あの小さな男の子。どうしてか、子連れで来ていたのが印象的でしたから。」
驚きの表情を浮かべるカルロス。
しかしその表情はすぐに戻り、逆に微笑を浮かべた。
カルロス「・・・ありがとうシグエさん。少しだが、思い出した。すっきりした。」
シグエ「・・・・・。その反応は意外ですね。」
カルロス「知らなかったんだ。父が何をして、なぜ今いないのか。そして嬉しいんだ。父の通った道を、私が今なぞっていることが。」
カルロス「屋敷にあるものから、何となくは感じていたんだ。そうか・・・、方向は間違っていなかったのだな。」
ベルナ「・・・・・」
カルロスを見て少しだけ微笑むベルナ。
ヤンキー「ってぇぇことぁ兄さんの親父さんも勇者やってたってことっすかあぁ!!?すげえぇぇええっす!!!まじすげえぇぇええええっす!!!」
ふぅ、とため息をつくシグエ。
シグエ「・・・まぁ、そういう訳です。あとは好きにしてください。」
よろよろと飛び去っていく。
ベルナ「・・・・・先へと進んで良いですか?カルロス。」
カルロス「・・・もちろんだッ!!」
•[10]とある勇者の旅2 15ページ
戦闘前
さらに岩山を登る女神様御一行。
カルロス
茶色の短髪に群青の瞳の青年。
貴族風の格好で、きらびやかなマントを身につけている。
ベルナ
桃色の長髪に紫色の瞳、白い薄布を纏った女性。
全身から淡い淡い光を発している。
ヤンキー
ヤン・キー。
ヤンキー「ね、姐さん・・・・・」
ベルナ「もう少しですよヤンさん。無事に辿り着いたら例のご褒美を差し上げます。」
ヤンキー「マジっすか!!俺、興奮してきたっす・・・ッ!!」
ベルナ「ふふふ・・・・・貴方も好きですねぇ。」
ヤンキー「何言ってんすか、男は・・・甘い誘惑に弱いモンっすよ・・・ッ」
見つめ合い、微笑み合うふたり。
カルロス「ご、ご褒美って・・・何を約束したんだ・・・?」
ヤンキー「何ってぇ兄さん。そりゃあー・・・・・」
ベルナ「スモーキーココアシガレッ・・・」
ヤンキー「スモーキーココアシガレッ・・・」
「ハァーッハッハッハッハァーッ!!!!」
崖の上から突然の笑い声。
ハルス
黒い短髪に赤い瞳の青年。
漆黒の大剣を持ち、漆黒の鎧、漆黒のマントを身につけている。
ハルス「我が名は、闇の貴公子ハルスッ!!活躍は聞いているぞ勇者カルロス・・・・・巨大生物をいとも簡単に斬り倒しッ!封印されし女神を開放し口説き落としッ!!街を牛耳る闇組織を壊滅させたッ!!!・・・ふふふふふ、何という力ッ!!それでこそ我が宿敵ッ!!!」
ヤンキー「闇組織って俺らンことっすかあぁ!!?やっべぇぇかっけぇぇえええッ!!!」
ベルナ「ハルス・・・ッ!!カルロス、・・・・・ハルスは、亡国の言葉で・・・・・『塩』を意味します。・・・気をつけてください。」
カルロス「・・・・・そうか。」
ハルスが漆黒の大剣を手に崖から飛び降りてきたッ!!
ハルス「死ねええぇぇカルロスゥゥゥゥゥッ!!!!」
戦闘後
ハルス「く、くそ・・・ッ!!覚えてろッ!!」
ハルスは山を駆け上がり逃げていった。
ベルナ「しょっぱい相手でしたね・・・・・塩だけにッ!!」
カルロス「それが言いたかっただけ・・・なんだな?」
ヤンキー「あいつ、山の頂上に逃げて行きましたけど・・・・・また会うんすかね。」
カルロス「そういえば・・・・・逃げるなら方向を間違えている気がするな。」
ハルス「・・・痛ッでああぁ~ッ!!」
激しく転んだような音と共に叫び声がこだました。
•[10]とある勇者の旅2 20ページ
戦闘前
山の頂上に達する勇者様御一行。
カルロス
茶色の短髪に群青の瞳の青年。
貴族風の格好で、きらびやかなマントを身につけている。
ベルナ
桃色の長髪に紫色の瞳、白い薄布を纏った女性。
全身から淡い淡い光を発している。
ヤンキー
ヤン・キー。
ハルス
黒い短髪に赤い瞳の青年。
漆黒の大剣を持ち、漆黒の鎧、漆黒のマントを身につけている。
カルロス「やっぱりいた・・・・・」
ヤンキー「やっぱりいたっす・・・・・」
ハルス「何かムカつくなぁお前らッ!!!」
ベルナ「まぁ落ち着いてください、塩さん。」
ハルス「気安く名を呼ぶなあぁッ!!!」
ヤンキー「テンパってますね、あいつ。強ぇのに勿体無ぇ精神力っす・・・。」
スモーキーココアシガレットを咥えながら残念な顔をするヤン。
その横で同じく残念な顔をしている見知らぬ顔。
シーフル
白色の長髪に白い肌。金色の瞳の少女。
白いロングドレスを身につけている。
シーフル「・・・ここまでスルーされると本当に悲しい。シーフルさん悲しい。」
ヤンキー「どわああぁぁ!!!だだだ誰っすかあぁぁ!!?」
ベルナ「シーフルさんですね。お久しぶりです。」
シーフル「あらお久しぶりですわベルナちゃん。お変わりなく美人さんね!」
ベルナ「シーフルさんは相変わらず存在感が薄いですね。・・・あぁ、それでこの黒い変な存在感の男とつるんでいるのですか?」
シーフル「・・・ううん、この人は知らない。さっき突然押しかけてきて『私に無くてカルロスにあるのは仲間だ!どうせ勇者を阻むのなら私の仲間になれッ!!』って・・・何度も言うのよ・・・・・もう、うるさくって。」
ハルス「・・・ッ」
ベルナ「・・・・・」
ヤンキー「・・・・・」
カルロス「・・・・・」
ハルス「変な目で見るなッ!!・・・始めるぞシーフルッ!!!勇者を倒すのだろうッ!!?ほら戦闘準備だッ!!!」
シーフル「ごめんなさいねぇ。そういうわけだから、ちょっと付き合ってくださる?満足すれば、少しは静かになってくれると思うの。」
ベルナ「そうですね。さぁあの存在感を打ち砕き、存在感を吸収するのですッ!!存在感の薄い勇者様ッ!!」
カルロス「・・・・・あぁ。」
戦闘後
シーフルを倒すと、カルロスの持つナマクラ聖剣が黄色の光を放った!!
ヤンキー「またっすかあぁぁぁ!!?」
光が収束し、橙色の刃を形成する・・・・・
カルロス「これでまた、聖剣が・・・?」
ベルナ「えぇ。聖剣の属性のひとつ、『イエロー』が解き放たれました。」
カルロス「・・・・・イエロー、か。」
ヤンキー「カレーが好きそうなやつっすね!」
ベルナ「はい、カレーです。カレーはスパイシーな感じを醸し出します。」
カルロス「・・・そうか。」
ヤンキー「良かったっすね!!スパイシーは存在感たっぷりっすよ!!」
シーフルがふらふらと起き上がる。
ハルスは目を回してぶっ倒れている。
シーフル「その剣を・・・・・どうする気ですか・・・・・」
ベルナ「おや?貴方は知らないのですか、この剣の行く末を。」
シーフル「・・・・・良い話は聞いてないわ。」
ベルナ「それはそうでしょう。貴方の主はこの剣の復活をこうして阻止しているのですから。」
ベルナ「この剣は、世界を救うのですよ。」
カルロス「ところで、前に言っていた魔王というのは何なんだ?」
ベルナ「それはまた、あとでお話しますよ。ひとまず下りましょう?」
ささっとヤンの背中に乗るベルナ。
- 最終更新:2016-09-29 13:01:47